「アンガーマネジメント怒らない伝え方」―― アンガーマネジメント関連書籍紹介
伝え方が難しい
腹が立ったとき、なんでも我慢するのではなく、言ったほうがよいことはうまく伝えましょう、というのがアンガーマネジメントの考え方ですが、「伝え方が難しい」とよく言われます。
「遠まわしに言ったら、相手にまったく伝わらなかった」「結局、言わずに我慢して、後でよけい腹が立った」ということも多々。
そこで、相手に伝わる言い方を、考え方と具体的な例で解説したのが、この本です。
著者の戸田久実さんは、「伝わるコミュニケーション」をテーマに、大手企業や官公庁で研修を行なっている、講師歴24年のベテラン。日本アンガーマネジメント協会の理事で、協会の講師を指導する、アンガーマネジメントトレーニングプロフェッショナルでもあります。
アンガーマネジメントの考え方をプラス
戸田さんの著書には、「アドラー流 たった1分で伝わる言い方」もあり、「伝え方が難しい」という方には、この本を紹介していますが、さらにアンガーマネジメントの考え方も加えてあるのが、今回の「怒らない伝え方」です。
本書は、PART1~PART7と、EPILOGUEで構成されています。
まず、PART1「『怒り』とはなんだろう?」で、アンガーマネジメントの考え方が解説されています。
そして、PART2「感情をうまく伝えられない人の5つの特徴」、PART3「感情をうまく伝えられる人の5つの法則」。前者は、「『嫌われたらどうしよう』と心配しすぎてしまう」などの特徴をもち、後者は、「ときには聞き流すこともできる」などの特徴をもっているようです。なかなか興味深いですね。
実際の言い方がたくさん紹介されている
さらに、PART4「怒らない伝え方10のポイント」、PART5「感情別 相手に伝わる9つの言い方」、そして、PART6「シーン別 伝え方~仕事編」、PART7「シーン別 感情の伝え方 ~プライベート編~」と、わかりやすく具体的に、実際の言い方が書いてあります。
たとえば、「『昼間までに、△△と□□と××の仕事を仕上げて』と上司が無茶な仕事の降り方をしてくる」場合、どう言えばいいのでしょうか?
上司からの仕事なので、言い返しづらく、「はい……」と、すべてを抱え込んでしまい、その結果、間に合わず、相手を怒らせる。心のなかで「なんで私ばかり」と思い、やがて爆発するか、心が折れてしまう。
そんなありがちで難しいケースがたくさん取り上げられています。
ポイントも書いてあり理解しやすい
ちなみにこの場合は、3つの言い方が紹介されていますが、その1つは次のような言い方です。
「頼まれている仕事のことで確認をしていいですか? 現在△△と□□と××を頼まれていますが、この量ですと、すべての仕事をお昼までに仕上げることは難しいのです。お昼までに優先して仕上げなければいけない仕事はどれでしょうか? ご指示ください」
言い方に加えて、ポイントも書いてあります。この場合は、次のような内容です。
「溜め込まない」「その期間内ならどこまでできるのかをかならず知らせる」「できること、できないことを明確に伝えたほうが、相手も把握しやすい」「代替案を出すのも◎」
指示する側も助かりますね。
さらに、最後の「EPILOGUE」には「アンガーマネジメント11の簡単テクニック」が入っています。
この「EPILOGUE」にも、この本全体、そして「アドラー流」にも、イラストが入っており、理解がしやすくなっています。
この本を読んで、考え方、具体的な言い方、ポイントがわかったら、あとは実際に試すだけ。たいへん頼りになる1冊です。