ビジネスパーソンのための人間関係がうまくいくアンガーマネジメント1
とくに上司はアンガーマネジメントを学んだほうがよい
上司との関係がストレスの原因に
多くの人にとって、1日の大半を過ごす職場。その時間が楽しいか、苦痛に満ちているか、それを決める大きな要素として「職場の人間関係」が挙げられます。
マンパワーグループの調査によれば、20~50代の正社員の男女で、仕事上でストレスが「とてもある」人は33.0%、「どちらかと言えばある」人は42.8%。ストレスの原因(複数回答可)で一番多かったのは「上司との関係」で、男性46.3%、女性42.9%が挙げています(※1)
さらに、日本アンガーマネジメント協会の調査では、3年以内に辞めた新卒への「どうすれば退職を回避できたと思いますか?」という質問への回答の第1位は「上司との良好な関係」で28.2%、第2位は「(上司からの)適切な叱られ方」で22.6%でした。逆に、新卒で入社し4年以上在籍している人が「退職を回避できた理由」は、第1位が「同僚との良好な関係」で31.9%でした(※2)。
すなわち、これら2つの調査結果から、職場のストレスには、「上司との人間関係」が起因していることと、「同僚との良好な人間関係」が、退職の回避に役立っていることがわかります。
現代はストレスを感じやすい時代
人は「感情の生き物」と言われますが、家庭、プライベートのみならず、職場でもさまざまな気持ちを感じて、毎日を送っています。職場で嬉しいことがあれば、やる気が高まりますが、職場で怒りや悲しみを感じることがあれば、やる気を失い、職場に行くのが苦痛にもなります。
現代の企業が置かれている経営環境は、グローバル化で競争が激化し、経営の効率化が求められると同時に、仕事への要求が高難度化し、働く人がストレスを感じやすい状態にあります。
加えて、正規・非正規など雇用条件の違う社員、外国人やデジタルネイティブと呼ばれる世代など、異なる考え方、価値観の人が一緒に働いており、互いの理解不足から怒りが生まれやすい状況にあります。
職場の人間関係のトラブルが発生すると、ストレスが高まり、仕事の生産性や質の低下、離職(定着率の悪化)にもつながります。
そういったなか、ビジネスパーソン、とくに上司である管理職が「アンガーマネジメント」を学ぶことにより、パワーハラスメント防止だけでなく、よりよい部下指導、チームビルディングができるようになります。ひいては、部署全体の仕事の生産性向上、質の向上、結果的に、業績アップにもつながります。
このコラムでは、ビジネスパーソン向けに、仕事での人間関係がうまくいくためのアンガーマネジメントについて書いていきたいと思います。
※1 マンパワーグループ 職場環境の改善は人間関係がポイントに!? 従業員の7割以上がストレスを実感 http://www.manpowergroup.jp/navi/jinji/surveydata/1610_001.html
※2 日本アンガーマネジメント協会 新卒3年以内の離職に関して、怒りに関する調査結果を発表 https://www.angermanagement.co.jp/pr20170324