社長が怒りをマネジメントすれば会社がうまくいく ~アンガーマネジメント経営のすすめ~ 第1回 考え方を変えるとうまくいく?

うまくいっている経営者の考え方

 アンガーマネジメント? うまくいく考え方?怒りの感情と上手に付き合う心理トレーニング「アンガーマネジメント」に、そもそも私が興味をもったのは、この考え方には、うまくいっている経営者の考え方と共通するものがあると思ったからです。

私はこれまで仕事で5000人以上の経営者を取材したり、経営コンサルティングしたりしていますが、うまくいっている経営者は「うまくいく考え方」を、うまくいっていない経営者は「うまくいかない考え方」をしているのではないかと感じます。

この「考え方」と「結果」は、考え方が先です。うまくいっているから、そのような考え方になったのではなく、「うまくいく考え方」だったからうまくいったように感じます。

私は、この「うまくいく考え方」と共通するものが、「アンガーマネジメントの考え方」にもありそうだと感じ、詳しく知りたいと思い、アンガーマネジメントを学びはじめました。

アンガーマネジメントは、怒らない人になったり、ましてや、怒りを我慢し溜め込んだりするのではなく、腹立たしい原因を探り、必要に応じて原因の改善を図ります。精神論とは異なる、合理的な考え方・対処法と言えます。

考えを切り替えて成功した例

経営者が「うまくいかない考え方」から「うまくいく考え方」に切り替え、同時に、怒りをマネジメントした結果、成功につながった例として、私が真っ先に思い浮かぶのは、アメリカ・シアトルの「パイク・プレイス魚市場」です。

「フィッシュ!」 ここは、店員が魚を投げるパフォーマンスで有名になった店で、2000年に「フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方」という本と、2004年に「魚が飛んで成功がやってきた―FISH!の社長が自ら明かす活きのいい組織のつくり方」という本も出されています。

後者に、パイク・プレイス魚市場の経営者である日系のジョン・ヨコヤマ氏は、当初、従業員に、絶えず激怒し、怒りをぶちまけ、「ひどく怒りっぽい自分に疲れ、一人で憤っていることにも疲れていた」と書かれています。
当時、同氏はほとんど休暇もとらずに働いていたにもかかわらず、「他の多くの零細企業と同じように、私の店もそれほど儲かっていたわけではなかった」のです。

魚が飛んで成功がやってきた」ところが、ヨコヤマ氏がコンサルティングを受け、考え方を変え、大きなビジョン「世界に名立たるパイク・プレイス魚市場」を掲げ、企業文化を変えてから、「アメリカ全土で面積あたりの売上高がわが社を上回る小売店を探すのが難しいほどになった。スタッフの定着率もすばらしくよくな」りました。

ヨコヤマ氏はもちろん、「わが社の社員は(怒っている客や同僚に対しても)自分の感情をコントロールできる」ようにもなり、成功につながっています。

これらの本は、私がアンガーマネジメントを学ぶ前に読んだものですが、これらの本に書かれていた「経営者の怒り」は、私が接してきた経営者にも多く見られる「怒り」です。経営者が従業員に怒りを感じる場合の「怒りのツボ」は、ほぼ共通しています。

そして、この「怒りのツボ」につながる考え方がどこから来ているかを理解し、違う発想に変え、そこから至る違う行動をすれば、うまくいくのではないかと思います。

この連載ブログでは、今後、
・アンガーマネジメントの基本
・経営者の怒りのツボ
・経営者へのアンガーマネジメント
などについて書いていきます。

「フィッシュ!」と「魚が飛んで成功がやってきた」に関しては、自分のブログで、2011年に紹介しています。こちらも合わせてどうぞ

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